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宗派と供養別の仏壇の飾り方・仏具の置き方・お供え物の並べ方

仏具の基礎知識

2021.06.17

仏具, 置き方

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仏壇の仏具の置き方には様々なバリエーションがあります。

ご家庭の仏壇では、先祖代々受け継がれてきたやり方で仏具が配置されていますから、置き方の意味など考えたこともないのではないでしょうか?

新たに仏壇を購入しようと思っている方にとっては仏具の置き方どころか、仏具の種類や名前さえわからないかもしれません。

いずれにしろ仏壇を持つ以上は、仏事の最低限のマナーや仏具についての基礎知識などはつけておいた方がいいですね!

この記事では、仏壇や御本尊の選び方、御本尊と位牌の祀り方、宗派によって異なる使用仏具やその置き方、毎日の供養とお盆や法要などの特別なシーンで変わる仏具の置き方について詳しく解説します!

仏具の置き方の前に基本は仏壇選びから

h2-1 仏具の置き方の前に基本は仏壇選びから

仏具の置き方を見る前に、まずはベースになる仏壇を選んで、御本尊とお位牌を安置する(飾る)ところから始めましょう。

仏壇の種類

h3-1 仏壇の種類

仏壇の種類は大きく3つに分けられます。

・唐木仏壇(からきぶつだん)
・金仏壇(きんぶつだん)
・モダン仏壇 ※家具調仏壇

唐木仏壇と金仏壇はいわゆる大型の伝統的な仏壇です。金仏壇は主に浄土真宗で使われます。そして、モダン仏壇は最近主流になってきている現代風の仏壇です。

それぞれの仏壇の特徴をご紹介すると、まず、唐木仏壇は国産高級木材『黒檀(こくたん)』や『紫檀(したん)』でつくられていて、木目の美しい仏壇です。

金仏壇の素材には光沢の美しい杉が用いられていることが多く、内部には贅沢に金箔が施され荘厳な見た目の仏壇です。

モダン仏壇は現代の生活スタイルに合わせて生まれた仏壇で、限られたスペースにも配置しやすいスリム型、リビングにもマッチするおしゃれな色やデザインのものが多いことから人気があります。コンパクトなミニタイプの仏壇などは、家具の上を利用した置き方もできます。

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手元供養の「供養台」

h3-2 手元供養の「供養台」

仏壇にはそれ以外にも『供養台(くようだい)』と呼ばれるものがあります。
これは、宗派にとらわれず自宅で自由に故人を供養する『手元供養(てもとくよう)』に使うミニ仏壇です。

供養台には、故人の位牌や写真、仏具やお供え物だけ祀ります。
仏壇は御本尊を祀るものなので、正式には仏壇とは呼べないかもしれませんね。

手元供養用ではおしゃれなデザインの仏具が豊富で、その置き方も自由です。
最近はペット用の更に小型の供養台や、かわいいペット仏具なども数多く販売されています。

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宗派別の御本尊の選び方と置き方

h2-2 宗派別の御本尊の選び方と置き方

仏壇の最上段を『須弥壇(しゅみだん)』と呼ぶのですが、御本尊は須弥壇の中央に安置します。

宗派別の御本尊

h3-3 宗派別の御本尊

仏壇に祀る御本尊は宗派により異なります。

『釈迦如来(しゃかにょらい)』曹洞宗、臨済宗
『大日如来(だいにちにょらい)』真言宗
『大曼荼羅(だいまんだら)』日蓮宗
『阿弥陀如来(あみだにょらい)』浄土宗、浄土真宗本願寺派・真宗大谷派

天台宗だけは御本尊の指定がないのですが、阿弥陀如来で祀ることが多いようです。

御本尊の形は仏像の場合と掛軸で表される場合があり、どちらかを選んで祀ることになります。ただし、日蓮宗では掛軸だけを祀ったり、浄土真宗では掛軸は「本山から迎えた阿弥陀如来のもののみ」と指定されていたりするので、その点は確認しておきましょう。

宗派別の脇侍

h3-4 宗派別の脇侍

御本尊の左右には、『脇侍(わきじ・きょうじ)』と呼ばれる掛軸(または仏像)をお祀りします。簡単に言うと、脇侍は御本尊のサポート役です。

「臨済宗十四派」で有名な臨済宗では左右の脇侍は各派によって異なるので、菩提寺が何派か確認しておく必要があります。

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宗派によっては仏壇に位牌は飾りません

h2-3 宗派によっては仏壇に位牌は飾りません

仏壇にはご先祖様や故人の「俗名(ぞくみょう)・戒名(かいみょう)・享年(きょうねん)・没年月日(ぼつねんがっぴ)」が文字入れされた位牌を祀ります。

仏壇内での位牌の置き方ですが、御本尊を安置した須弥壇(しゅみだん)の一段下に祀ります。その際は位牌の高さに注意し、御本尊よりも高くならないように置きましょう。複数の位牌がある場合の置き方は、台の右から左に向かって置くのが基本の並べ方です。

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仏壇と言うと「ご先祖様や故人の位牌を置いて供養する場所」と捉えている方は多いですが、すべての宗派の仏壇の飾り方で、位牌を祀る訳ではありません。

浄土真宗では位牌でなく過去帳を置きます

h3-5 浄土真宗では位牌でなく過去帳を置きます

浄土真宗の本来的な考えでは、仏壇にご先祖様や故人の位牌を祀ることはしません。

浄土真宗の教えでは、亡くなった方は『死即往生』して、阿弥陀仏の導きにより極楽浄土で仏になるとされています。ですから、位牌を置いて追善供養(ついぜんくよう)をしたりはしません。

浄土真宗の仏壇では位牌の代わりに『法名軸(ほうみょうじく)』という掛け軸や、『過去帳(かこちょう)』と呼ばれる故人の俗名(生前の名前)・戒名(浄土真宗では法名)・享年・没年月日が掲載された帳面を使用します。

関連記事:掛け軸は仏具ですが仏壇に祀る仏像と同じくご本尊なのです

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ただ、現在ではそこまで厳しく決まりに従う必要はなく、仏壇に位牌や写真を置いて故人を祀っても問題ないとされています。

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基本の供養は『五供』で仏具の置き方は『三具足』

h2-4 基本の供養は『五供』で仏具の置き方は『三具足』

仏教で使用する仏具には様々な種類のものがありますが、ご家庭での通常の供養ではすべての仏具を揃える必要はありません。
それぞれの仏具の役割やお供えの意味を理解すると、必要な仏具やその置き方も自然とわかります。

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供養の基本は『五供』

h3-6 供養の基本は『五供』

仏教の仏壇供養の基本は『五供(ごくう)』とされます。

・香り供養
・花供養
・灯り供養
・浄水供養
・飮食(おんじき)供養

これらの供養で仏前にお供えしているものは

・線香のいい香り
・花の美しい見た目
・ローソクの灯り
・新鮮なお水(淹れたてのお茶)
・炊きたてご飯(おいしい湯気)

です。

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『五供』はお供えの基本とされますが、各宗派の線香の手向け方や本数の決まりがあったり、宗派によって使用する仏具の種類や数、置き方が異なるので注意しましょう。
たとえば、浄土真宗の「花供養」では、造花や『常花(じょうか)』ではなく生花だけを選び、浄水供養はしないのが基本です。

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五供でのお供え物には、それぞれに大切な意味があります。

線香:仏の慈悲の心のように隅々まで行き渡る煙で、その場と供養する者を清める
花:私達から仏様や故人への感謝の気持ち、仏様から私達への慈悲の心を表す
ローソクの灯り:仏の智慧(ちえ)と慈悲の象徴。火で暗闇の邪気を祓い、灯りは故人の道しるべ
水・茶:仏様や故人の喉の渇きを癒す
ご飯を含む食べ物:今日も食があることへの感謝の気持ちを表し、同じものを食べて仏様や故人と繋がる

仏壇にお供えして下げた後のご飯は私たちがいただきますが、それは仏様やご先祖様と同じものをいただくという意味があります。

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五供に使う『三具足』の置き方見出し

h3-7 五供に使う『三具足』の置き方

五供に使用する仏具は次の5つです。

香り供養:香炉
花供養:花立・花瓶
灯り供養:ローソク立て・火立て・【浄土真宗】燭台
浄水供養:茶湯器(ちゃとうき)・茶器(ちゃき)・湯呑(ゆのみ)
飮食供養:仏飯器(ぶっぱんき)・【浄土真宗大谷派】仏器(ぶっき)

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五供での仏具の呼び方は様々ですが、使い方や仏壇内での置き方は基本的には同じです。

特に「香炉・花立・火立て」の3つは、宗派を問わず最低限必要な大切な仏具とされ、セットで『三具足(みつぐそく)』と呼ばれます。そして、香炉を1つ、花立と火立てを1対ずつにしたセットを『五具足(ごぐそく)』と呼びます。

セットと言っても、これは仏具セットというよりも祀り方のことを指す言葉で、五具足の方が丁寧で正式な祀り方です。大きな仏壇がある場合などは別ですが、毎日の供養では三具足を使用するのが一般的です。

仏壇での三具足の置き方は、香炉を中心として向かって左側に花立、右側に火立てを配置します。

毎日のお参りの一連の流れをスムーズにするためには、香炉の左側に線香差し、火立ての近くにマッチ・マッチ消し・ローソク消し、右手前におリン、という置き方をおすすめします。

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お水を入れた「茶湯器」とご飯を盛った「仏飯器」は御本尊の手前、位牌の近くにお供えします。仏具の置き方は左側に茶湯器、右側に仏飯器を並べて、『仏器膳(ぶっきぜん)』という台の上に載せてお供えするのが正式な方法です。

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特別な日には五具足で祀り仏具の置き方も変わります

h2-5 特別な日には五具足で祀り仏具の置き方も変わります

お盆やお彼岸、お正月や法事など特別な時には、お供え物や仏具の置き方も変わります。

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『五具足』の置き方

h3-8 『五具足』の置き方

毎日の仏壇供養では三具足を使っている場合でも、お盆や故人の命日などの特別な日には五具足で祀るのが一般的です。

五具足で祀る時の仏具の置き方は、まず中央に香炉を飾り、その左右に1対の火立てを配置します。そして、その外側に1対の花立を置きます。

大きいサイズの仏壇がある場合には、普段から五具足で祀る方もいます。
仏壇内にスペースの余裕はなくても正式に祀りたい場合には、仏壇前に経机を設置して、その上に五具足やおリンを飾る方法もあります。

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特別な日に使用する仏具とその置き方

h3-9 特別な日に使用する仏具とその置き方

お盆や法要などの日には、仏壇をいつもより華やかに見せたり、より丁寧な形で仏前にお供えものを置くために、多くの台や御膳、敷物などを使用します。

 仏壇には荘厳な『打敷(うちしき)』をかけ、お供え物のお菓子や果物を『高月(たかつき)』や『段盛(だんもり)』にのせて普段より豪華に仏前を飾ります。

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 特別な日の「飮食供養」では、『霊具膳(れいぐぜん・りょうぐぜん)』と呼ばれる精進料理をお出しして、ご先祖様や故人をもてなします。

 霊具膳は「親碗(おやわん)・汁椀(しるわん)・平椀(ひらわん)・壺椀(つぼわん)・高月(たかつき)」の5点の器で構成されていて、お膳内での器や箸の置き方には決まりがあります。

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お盆の時には、仏壇前に『精霊棚(しょうりょうだな)』を設置して、そこに位牌や仏具を移動させます。精霊棚での置き方は、位牌は中央奥に、その手前にお水とご飯をのせた仏器膳や霊具膳、棚の手前の方に五具足やおリン等、お参りに使う仏具を配置するのが一般的です。お菓子や果物をのせた高月やその他のお盆用のお飾りは、空いているスペースに飾り付けます。

他にも、精霊棚の左右や仏壇まわりには道しるべの『盆提灯(ぼんちょうちん)』を置いて、ご先祖様や故人をお迎えします。

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浄土真宗での四具足の置き方

h2-6 浄土真宗での四具足の置き方

浄土真宗の三具足(五具足)では、使用する仏具の色形の決まりがあったり、呼び方が異なる仏具がありますが、仏壇内での置き方は基本的には他の宗派と同じです。

ただ、細かい作法で言うと、仏壇に打敷をかけてから『前卓(まえじょく)』という台を置き、その上に三具足(五具足)を祀る置き方が正式な作法です。

浄土真宗では三具足(五具足)以外に、『四具足』を祀ります。
四具足は仏壇の上段に同じく打敷をかけ、今度は『上卓(うわじょく)』と呼ばれる台を置き、その上に飾ります。

『四具足』で使用する仏具やその置き方は、浄土真宗本願寺派と真宗大谷派で違います。

本願寺派で使用する仏具は、火舎香炉(かしゃこうろ)と燭台(火立)を1つずつ、そして1対の『華瓶(けびょう)』です。

『華瓶(けびょう)』とは花を供える器ではなく、中に水を入れてから『樒(しきみ)』という植物を挿して「香水」という形でお供えするための仏具です。

本願寺派での四具足の仏具の置き方は、中央手前に火舎香炉、中央奥に燭台、そして左右に華瓶を飾る配置です。

真宗大谷派の四具足は、火舎香炉、1対の華瓶(けびょう)、そして仏器(ぶっき)です。仏器は通常2つは使用するので、5つの仏具での構成になります。

大谷派での四具足の置き方は、中央手前に火舎香炉、その両脇に1対の華瓶、仏器は火舎香炉の少し後方に左右に並べます。

浄土真宗系では三具足(五具足)や四具足だけでなく、その他にも仏壇や仏具の種類や祀り方など、いくつも特徴があります。
単に本願寺派、大谷派、高田派というだけでなく、地域や菩提寺(ぼだいじ)によっても異なるので、仏壇や仏具を購入する前にいちど確認しておくことをおすすめします。

関連記事:浄土真宗の仏壇や仏具の選び方と飾り方

初心者は仏具店で購入!使い方や置き方を教えてもらいましょう

h2-7 初心者は仏具店で購入!使い方や置き方を教えてもらいましょう

仏具の置き方は宗派や供養シーンだけでなく、地域の風習やお寺の考え方で変わったり、ご紹介したように同じ宗派内でも浄土真宗本願寺派と真宗大谷派で祀り方が異なったりします。ですから、気になる方は親戚の方やお寺の方に確認しておくといいでしょう。

仏壇・仏具店のスタッフに相談する

h3-10 仏壇・仏具店のスタッフに相談する

宗派や地域でのお祀りの仕方ではなく、一般的な仏具の選び方や置き方を知りたいという方は、仏壇や仏具を購入するタイミングでお店の人に問い合わせるのが一番です。

仏壇・仏具店では仏事の知識をもった店舗スタッフがガイド役となり、各仏具に使用されている素材の特徴や、仏具ごとに使い方・置き方を詳しく説明してもらえるでしょう。

数多く販売されている商品の中から最低限揃えておきたい仏具や、仏具を選ぶ時のポイントも教えてもらえるので、はじめて仏壇や仏具を持つ方でも安心ですね!

スタッフに条件を伝えれば、様々な仏具の中から予算に合った価格の商品をおすすめしてもらえるので、気軽に相談すると良いと思いますよ。

購入前には仏具のお手入れ方法、取り扱いの注意点、長持ちさせるためのコツなどの情報も合わせてゲットしておきましょう!

関連記事:初めての仏具は近くの仏具屋さんで!最寄りの仏具店を探す方法

近くの仏具店を探してみる

通販サイトで仏具を探す際には、仏壇・仏具店のページでのお得なセット販売の利用をおすすめします。
注文前には商品情報の表示や、送料無料などのサービス内容などをしっかり確認しておきましょう!

関連記事:はじめての仏具は通販より実店舗での購入が安心です

関連記事:仏具とは仏壇での供養を故人やご先祖へ届ける祈りの法具

>まとめ

この記事では、様々なシーンでの仏具の置き方を解説してきましたが、参考になったでしょうか?

仏壇を持つと、仏事や仏具のことを少しずつ覚えなければなりません。
手元供養ならいいですが、いずれ法要や法事を行うことを考えている場合は、仏具の選び方や置き方を含め、やはり正しい作法は覚えておいた方がいいですよ。

お近くに親戚が住んでいたり、菩提寺(ぼだいじ)の方に質問できるのならいいのですが、そうでなければ仏壇・仏具店のベテランスタッフにお気軽に相談してみたらいかがでしょう?

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