仏具の台にはどんな種類が?供物台や仏壇前の経机だけじゃない!
2021.06.23
仏具, 台
仏壇まわりを見回すと、大小様々な「台」があるのに気づくことでしょう。
親しい誰かの家の法要に参列したら、仏壇の周囲に普段は使っていない台の上に仏具やお供え物が置いてあったりもしますよね?
実は仏壇まわりで使用する仏具の「台」には色々あり、それぞれ仏事のシーンで大切な役割をもっているのです。
仏壇まわりで使われる台の中でも最も有名なのは、『経机(きょうつくえ)』かもしれませんね。
ご家庭に仏壇がない方でも、きっと誰かの家で仏壇の前に置かれている仏具を載せた台を見たことがあるでしょう?
しかし、経机にはどんな仏具を載せるものなのでしょうか?
それに、なぜ経机のデザインは、両端がめくれ上がったような形をしているのでしょうか?
ここでは、仏壇用の仏具として使われる台の種類やその使い方、そして選び方のポイントなどをお伝えします。
目次
御本尊を祀る台「台座(だいざ)」は種類も多い
それでは、仏壇まわりで見かける様々な台を見ていきましょう。
ます最初は、『仏像の台座』です。
仏壇とは本来的には位牌を置く場所ではなく、仏様を祀る場所です。
上段の『須弥壇(しゅみだん)』には宗派ごとの御本尊である仏像や掛け軸を安置します。
御本尊の仏像が安置されている台のことを『台座(だいざ)』と呼びます。
敬うべき御本尊様ですから、高い位置に安置(祀る)します。
台座にはその仏様の格式によって、いくつかの種類があります。
・六角台座
・八角台座
・丸台座
・華鬘(けまん)
・裳懸座(もかげざ)
・獅子付き台座
・四天守護座
・蓮方大仏座
ほとんどの仏像は台座付きで販売されていますが、台座は単品でも購入可能です。
ただ、御本尊である仏像と台座、掛け軸は宗派によって指定されている場合が多いので注意しましょう。購入する前には寺院の方に確認し、仏具・仏壇店のスタッフに商品の詳細情報を聞いて選ぶことをおすすめします。
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ご飯やお水をお供えする仏具をのせる台
仏壇では、香炉で線香を焚いて「香り供養」、燭台にローソクを灯して「灯り供養」、花瓶てに仏花を生けて「花供養」、茶湯器(ちゃとうき)にお水を入れて「浄水供養」、仏飯器(ぶっぱんき)にご飯を盛って「飮食供養(おんじきくよう)」をします。仏教ではこの5つの供養『五供(ごくう)』は、とても大切だとされています。
仏様やご先祖様に向けての供物やお供えものは、私たちからの「敬いの気持ち」を示すために、台にのせて少し高さをつけて仏壇に飾ります。
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仏器膳・仏器台
この五供のうちのご飯とお水をのせる台を『仏器膳(ぶっきぜん)』と言います。この台は「茶湯器」や「仏飯器」などの仏具の食器をのせて、一段高い状態にして丁寧にお供えするための仏具です。そのため仏飯器も脚付きのものが多いです。
なお、浄土真宗では茶湯器でお水をお供えしないので、ご飯だけをのせる『仏器台(ぶっきだい)』を使用します。
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なお、五供の考え方やお供え方法、使用する仏具の種類や数、置き方などは宗派によって異なるので、心配ならご先祖様のお墓のあるお寺『菩提寺(ぼだいじ)』の方に確認することをおすすめします。
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三具足や四具足の仏具をのせる台
五供の中の「香り供養・灯り供養・花供養」に使用する3つの仏具「香炉・燭台・花瓶」は最低限必要だとされ、まとめて『三具足』と呼ばれます。
日常の供養では三具足を使って供養することが多いですが、お盆やお彼岸、法事(法要)や故人の命日などの特別な日には、仏具の燭台と花瓶を1本ずつ増やし正式な『五具足(ごぐそく)』で丁寧に祀ります。
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前卓・上卓
仏壇の『須弥壇(しゅみだん)』の下の段に置いて『三具足(または五具足)』をのせる台のことを『前卓(まえじょく)』と言います。三具足の際には左から順に花瓶・香炉・燭台と置きます。五具足の際には仏具を並べ替え、中央に香炉、その両脇に1対の燭台、一番外側に1対の花瓶を配置します。前卓は主に浄土真宗系で使用されます。
浄土真宗ではその他『上卓(うわじょく)』と呼ばれる台も用います。
上卓の台は御本尊の前に置き、その上には『四具足(しぐそく)』を祀ります。
浄土真宗本願寺派で台の上に置く四具足は「火舎香炉(かしゃこうろ)・燭台・華瓶(けびょう)×2本』です。華瓶は花ではなく、水と樒(しきみ)を入れて「香水」としてお供えするための仏具です。
浄土真宗大谷派で台の上に置く四具足は「火舎香炉・仏器(ぶっき)・華瓶×2本』です。
浄土真宗では台だけでなく専用の仏具も多いので、選び方がわからない場合はお寺や仏具・仏壇店など専門店に問い合わせることをおすすめします。
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お盆やお彼岸で活躍する仏具の「供物台」
お盆やお彼岸、法事(法要)や故人の命日などの日には、特別なお菓子や果物などをお供えする台もあります。お盆や法事の際には多くのお客様が来られ、お菓子などをいただくこともありますから、それらのお供え物も台に置くといいでしょう。
高坏・供笥・段盛
『高坏・高月(たかつき)』は細長い脚の上がお皿になっている台です。
これも位置を高くしてお菓子やモチ、果物などをお供えするための仏具で、「供物台(くもつだい)」と呼ばれることもあります。木製に塗りが施された商品が多いですが、最近はアルミ製や木質pc製の高坏もあります。
浄土真宗では高坏の代わりに『供笥(くげ・きょうか)』という金色で花型をした仏具を使います。
各派で使用する供笥は、真宗本願寺派や高田派では六角形の供物台、真宗大谷派では八角形の供物台です。
浄土真宗では、その他『段盛(だんもり)』という台も使用します。
これは3~4段ある高い供物台で、使い方は高坏のように半紙を敷いた上にモチやお菓子などをのせて仏前に供える際に用いる台です。
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仏壇代わりに使うコンパクトな台「供養台」
台には仏像を安置したり、仏具やお供えものをのせる台だけでなく、仏壇代わりとして使用する台も存在します。
最近の住宅事情では、床の間に伝統的な大型仏壇を置いている方は少なくなり、マンションの洋風リビングなどに簡単に設置できる『モダン仏壇(家具調仏壇)』が主流になっています。
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仏壇はどんどんコンパクト化し、中には『供養台(くようだい)』という、家具の上にも置けるミニサイズの仏壇もあります。幅も奥行きもコンパクトなので、テーブルやチェストの上に設置することも可能です。
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手元供養
供養台は主に故人だけを祀る『手元供養(てもとくよう)』に使われます。対象が「故人」なので、御本尊は祀りません。
手元供養とは、宗派にとらわれずに故人を身近に感じながら自由に祀る、比較的新しい供養のカタチです。
手元供養にピッタリの『モダン仏具』も豊富に販売されていて、そのおしゃれな見た目はまるでインテリア雑貨のようです。
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供養台には『ペット供養』のものもあり、ペット用のミニ仏具と共に人気が出ています。
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仏具やおリンなどを置く台「経机(きょうつくえ)」
和室に置かれた唐木仏壇の前に置かれた台。見たことありませんか?
木製の低めのテーブルのような形で、上にいくつかの仏具が並べてある台です。
それが『経机(きょうつくえ)』です。この台は、どのように使うものなのでしょうか?
経机の昔と今
もともと経机は、経本を読んだり、写経をしたりする際に使用する台でした。
ですから、筆などが転がり落ちて畳を墨で汚すことのないように、経机の左右の端には『筆返し』という反り返った溝がついているのです。
経机の横には『御供机(おそなえつくえ)』を置き、その上にお参り仏具を置いて使っていました。ですから、昔は仏壇の前には2つの机が置かれていたのです。
しかし現代では、ご家庭でお経をあげる方は減っていますし、昨今の住宅事情から考えたら、大型仏壇の前に2つも台を置くのは難しいのではないでしょうか?
ですから、今の経机は主に日々のお参り用品を置く台として利用されています。
特に和室では、仏壇の前に正座してお参りしますから、その高さに合わせて作られている経机は供養仏具を置くのに最適なんですね!
仏具「経机」現代での役割と置く仏具
現在では、経机に置くのは日常の仏壇でのお参りに必要な仏具などです。
仏壇内には置ききらない仏具、安全面やお手入れ面で仏壇の外にあった方がいい仏具、台の上に置いた方がお参りの流れがよくなる仏具をおくのがポイントです。
まずは、「香り供養」に使う香炉と、「灯り供養」のための燭台です。
香炉と一緒に『線香立て』『マッチ消し』『ローソク消し』などを置いておけば、毎日の御供養の流れがスムーズになって便利です。
これらは火を使うので仏壇内に置くとススがついてお掃除も大変ですし、仏壇の外の方が安全です。火事が心配な場合は、経机の台にかけたり脚の下に敷くタイプの防火・防炎の布やマットの利用をおすすめします。布で美しい木目を覆いたくないという方には、ガラス製のカバーもあります。
経机の上の余ったスペースに高坏にのせた供物や、故人の写真を置く方もいます。
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そして、台の上に香炉や燭台と一緒に置かれることが多いのが、『おリン(りん・おりん)』です。
リンはすべての宗派において重要な仏具とされ、通常は三具足の近くに置かれます。使い勝手から台の上では右手前に置かれることが多いです。
リンは本来的には、読経の際に開始や終わりの合図として鳴らしたり、読経の時間に調子をとるために使う仏具なのですが、現在は仏壇に手を合わせてお参りする際に鳴らして使うのが一般的になっています。
なお、リンのように音を出す仏具を「梵音具(ぼんおんぐ)」と呼びます。
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そして、もうひとつ。台の上にはお参りのための『数珠(じゅず)』が置かれます。
数珠は正しくは、珠(たま)を使ってお経を唱える回数を数えるための仏具です。
しかし現在では、葬儀・法要の焼香の際や、日々の仏壇でのお参りの時に合掌して使うケースがほとんどだと思います。
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最近の経机には収納型の商品も多く、引出しに経本や数珠、線香やロ-ソク等のお参り用品をしまうことが可能です。
仏具「経机」の伝統的な素材や加工
伝統的な経机の素材には、主に天然木材が使われています。
唐木仏壇に合わせて、黒檀(こくたん)・紫檀(したん)・鉄刀木(タガヤサン・てっとうぼく)・欅(ケヤキ)で作られたものが一般的で、重量感があります。
漆塗り(うるしぬり)に『黒面金(こくめんきん)』が施された経机もあります。これは、主に浄土真宗で使われる『金仏壇』に合わせるための経机です。
金仏壇と同じように内部に金箔を施し、黒もしくは朱色で作られた経机で華やかさがあります。
工房で造られるような伝統的な経机のデザインは格式と品位があります。
台の左右の端に『鳩筆返し』がついていて、台の脚は外側にゆるくカーブしているものが一般的ですが、中には猫脚型になっているものもあります。
モダン仏具での経机はやっぱりオシャレ
モダン仏具での経机のサイズは、昔ながらの経机よりもコンパクトです。
現代の住宅事情や生活スタイルを考えて作られているので、その特徴は「ミニサイズ・機能的・おしゃれ」なのです。
モダン型の経机の素材は、最近の家具によく使用されるタモ製やウォールナット製のものが多く、色はインテリアに合わせやすいブラウンなどのナチュラルカラーの商品が人気があります。見た目を木目に合わせて作られたプリント型の経机もあります。
モダンタイプの経机はシンプルなテーブル型をしていて脚もまっすぐ、台の端に『筆返し』はついていません。
伝統型のような高級天然木材を使用せず、作りもシンプル調なモダン型の経机は、比較的安い価格で販売されています。
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仏具「経机」の選び方のポイントは?
通販サイトのランキングなどで人気の経机を検索すると、選択肢が多すぎて悩んでしまいますよね?
そんなあなたに、商品レビューよりも役立つ「経机の選び方のポイント」をご紹介します!
まず、伝統型かモダン型かは、お持ちの仏壇のタイプに合わせましょう。
やはり仏壇に使用するものは、同じ素材でまとめた方が見た目がいいですよ。
仏具も統一感があった方がいいので、セット購入するのがベストです。
設置のことを考えて、サイズから選ぶことも大切です。
通常の経机の高さは30cm前後ですが、最近は椅子に座ってのお参りができる「背高タイプ」もあります。
サイズは、14号・16号・18号・20号などが一般的な大きさです。
通常サイズの仏壇に合わせるなら、横幅45cmか60cm程度の経机、大型仏壇用には75cm以上のものもあります。奥行きは大体24cm~35cm位です。
仏壇の横幅や奥行きは、予め測っておくことをおすすめします。
最近は折りたたみ式の経机も多く販売されています。設置も折りたたみも簡単にでき、コンパクトに収納できるのでとても便利です。
価格を左右するのはサイズだけでなく、メーカー、素材、作りなので、商品情報の表示をよく見て検討しましょう。
やはり唐木の高級木材で作られた国産(日本製)の伝統型は価格も高めで、シンプルでコンパクトなモダン型は安い商品が多いです。
仏具台を買う時の注意点!初心者は仏具店へ
大手ECモールは実は商店の集まりです。
個々のお店はそれぞれの専門店で様々なアイテムを扱っています。
食品・キッチン・腕時計・ファッション・本・家電・パソコン・dvd・ホビー・カメラ・スポーツ・アウトドア・バイク・diy・工具など、ありとあらゆるモノが検索結果に表示されますが、仏具や神具、祭壇などを扱っている仏壇屋・仏具店のサービスはその中から探す必要があります。
ごく一般的なキーワードである「台」や「机」は、扱っている店舗もその数も多いため、検索結果に意図しないアイテムが混じってしまうことも多いのです。
一回検索すると何十ページも出てくるアイテムを、1つずつ見ていくのは大変ですよね?
お目当ての商品を見つけた場合でも、注文前にチェックしておくポイントがあります。
まず「在庫の有無」。送料無料の条件や、お届け日数がどれくらいか?
また、配送で届いた商品の保証条件と返品対応も大切です。
購入時の決済方法もカード決済のみだったり、代引きがなかったりと、お店に寄って様々。店舗が発行してる割引クーポンも予め確認しておかないと、買った後からは使えません。
それぞれ確認してから注文しましょう。
ネット通販に慣れていないなら仏具店で買いましょう
慣れていて使いこなせると便利なネット通販ですが、毎月買うものでもない仏具の台の為に膨大な時間を使って疲弊するのはあまりお得ではないかも知れません。
それなら、お近くの仏具店に出向くのが一番良い方法です。
仏具店なら探して、比較して、選んでという必要もありません。
仏事に詳しい店員さんがいるのですから、仏事のプロに自分がどういった仏具が欲しいのかを伝えるだけでいいのです。
すぐに、たくさんの商品の中から台をチョイスし、いくつもの現物を見せてくれて一緒に仏具の台選びをしてくれることでしょう。
>まとめ
この記事では、様々なシーンでの仏具の置き方を解説してきましたが、参考になったでしょうか?
今回は仏壇内、そして仏壇まわりで活躍する仏具の「台」をテーマにお話ししました。
「台」の持つ最大の特徴は「高さ」です。
その「台」の特徴は、仏壇内に供物を供えるシーンでは「丁寧さ」を表し、私たちが仏具を使ってお勤めをするシーンでは「便利さ」として活躍してくれるのです。
仏具には様々な種類があって使い方がわからないという方は多いですが、この「台」のようにその仏具の特徴から、仏壇内での役割を考えていくとわかりやすいのかもしれませんね!