仏壇にお供えする用の花『仏花』の種類は通販の造花でもOK
2021.06.17
仏壇, 造花
仏壇にお供えする花を仏花(ぶっか)と言います。
菊やカーネーションの生花が仏壇に供えてあるのを見かけた事があると思いますが、実は仏花の花の種類には厳密な決まりはありません。
だからと言ってどんな花でも良いのかというと、仏花に適している花、適していない花というのはあります。
また、生きている花でなくても良く、造花でも良いとされています。
決まりごとの多いイメージのある仏事にしては、意外に自由なんですね!
生花はお金もかかるし手入れも大変なので、最近では造花を選ぶ方が増えている一方、造花はNGで生花しか仏花として認めていない宗派もあります。
どんな宗派が造花はNGで、どんな花が仏花に適しているのか一通り確認してみましょう!
目次
浄土真宗系の宗派では造花ではなく生花を仏壇に供えます
仏壇にお供えするお花は、大きく「生花」「造花」「常花(じょうか)」があります。
生花は生きているお花で、造花は布やプラスティック等で造られたお花です。
常花というのは、造花の中でも特に仏壇へのお供えの為に造られた造花で、「蓮(ハス)の花」の形をしたものです。
常花にも金色の物や色が彩色されている物などの種類があり、花の数も種類があります。
一つ注意したいのは「浄土真宗系」の宗派では、仏壇にお供えする花は「生花」と決められており、常花、造花は認められていないのです。
造花には「香り」と「諸行無常」が無い
仏教にも様々な宗派があり、それぞれ考え方や決まりが違います。
浄土真宗系で造花のお供えが認められていない理由にも、やはり仏教の教えが関係しています。
1つには造花には「香り」が無いことが理由として挙げられます。
仏教のご供養には「五供(ごくう)」という考え方があり、「お香」「お花」「灯燭(ロウソクの明かり)」「浄水」「飮食(ご飯の湯気)」をお供えします。
身体から開放された故人には、カタチの無い物をお供えするのです。
そして、いずれもいつかはカタチが無くなる物でもあります。
これは仏教の「諸行無常」の考え方に則ったものです。
「諸行無常」とは「カタチがあるものは最後には皆無くなり無に帰す」という意味で、お香は燃え尽き、ロウソクは溶けてなくなり、浄水は蒸発し、飮食は腐り最後にはなくなります。
お花も枯れて落ちるのですが、常花(造花)はその名の通り常に花のカタチを保ち続けます。
この「諸行無常」に反する点と、お供え物として花の「香り」がしないという2つの点で良しとされていないのです。
関連記事:仏壇での「五供(ごくう)」に使う基本仏具とお菓子などのお供え物マナー
仏壇にお供えする花を選ぶ前にまずは自分の家の宗派を確認して、浄土真宗系であれば生花を選ぶようにしましょう。
関連記事:仏壇にお供えする『仏花』は生花だけでなくプリザーブドフラワーなどの造花もアリ!
仏壇に造花ではなく生花をお供えしたい場合のポイント
仏壇にはやっぱり生花をお供えしたい!という方には、造花にはない生花ならではの気をつけたいポイントがあります。
長持ちする花にしましょう
見た目にも経済的にも、長持ちする花がおすすめです。
花びらや花粉が散りやすい花も避けたほうが無難。
お掃除の手間もありますし、花粉は仏壇に付着すると仏壇を傷めてしまう事があります。
毒やトゲの無い花にしましょう
まず毒やトゲは飾る人の健康に良く有りませんし、仏教的にも殺生に通ずる毒やトゲは避けたいところです。
ですが、これも絶対にお供えしてはいけない訳ではありません。
ですので、もし故人がバラなどのトゲのある花が好きだった場合には、トゲを落としてお供えしてあげると良いでしょう。
香りが強すぎない花にしましょう
お花をお供えする意味には「香り」を故人へ届ける意味がありますが、一方で「お香」も香りをお供えするものです。
両方の香りが混じってしまうとせっかくの香りが楽しめませんが、お香の香りを調節することは難しいですから、お花の方の香りが強すぎないものを選びましょう。
ツタを巻く花は避けましょう
「樹心仏地」という仏教の教えにそぐわないので、ツタを巻く花は避ける方が無難です。
代表的な仏壇にお供えする生花
仏壇にお供えする代表的な生花をご紹介します。
・黄菊 秋
・白菊 秋
・蘭(らん) 品種によるが春~初夏(3月、4月、5月)
・スターチス 夏から初秋
・カーネーション 4~6月,9~10月
・スプレーマム 秋から冬
・金盞花(きんせんか) 12月~5月
・竜胆(りんどう) 9月~11月
・鬼灯(ほおずき) 7月~8月
・百日草(ジニア) 5月~11月
・鶏頭(ケイトウ) 7月~11月頃
・グラジオラス 6月~9月
・アイリス 4月~6月
・禊萩(ミソハギ) 7月~9月頃
季節や地域によって、この他にも色々な仏花がお供えされることがあります。
生花の種類をご紹介してきましたが、実は飾り方でも押さえておくべきポイントがあります。
「3色」か「5色」を「奇数」本で組み合わせましょう
仏壇にお供えする仏花は「白・黄色・紫」の3色か「白・黄色・紫・赤・ピンク」の5色を奇数本数で組み合わせます。
ひし形のカタチにしましょう
仏花は中心に1本長い花を置いて、左右対称に「ひし形」のシルエットになるように整えましょう。
日々のお世話を行いましょう
生花は生きている花ですから、水の取り替えや、落ちた花びらや葉っぱの掃除も毎日行いましょう。
この様に、いざ生花をお供えするとなると、気をつけるべき事が結構あるのです。
仏壇に供えるお花に厳密は決まりはありませんが、お供えしたお花を枯らせてしまうことだけは避けたい所。
現代の忙しい毎日の中で、枯らせてしまうことがないように日々気をつけてお世話をするのは大変です。
こういった背景から、仏壇にお供えするお花を「造花」にする方が増えているんですね。
仏壇やお墓に供える生花を花言葉から選ぶ
生花は種類や色によって、さまざまなメッセージを含んでいます。
特定の故人に向けて仏花をお供えする際、それぞれの花がもつ花言葉によって故人を表したり、故人へ向けたメッセージとする方も多いです。
ここでは代表的な仏花の花言葉をご紹介しますので、仏壇やお墓にお供えする仏花選びの参考にしてください。花によっては、色別や種類別の花言葉もあります。
マーガレットの花言葉
マーガレットの全般的な花言葉:恋占い、真実の愛、信頼
白いマーガレット:秘めた愛、花占い
黄色いマーガレット:美しい容姿
ピンクのマーガレット:真実の愛
牡丹の花言葉
牡丹の全般的な花言葉:富貴、壮麗、恥じらい、誠実
アイリスの花言葉
アイリスの全般的な花言葉:希望、信じる心、吉報、知恵、(恋の)メッセージ
白いアイリス:純粋、思いやり、あなたを大切にします
紫のアイリス:知恵、雄弁
アイリスには、種類別の花言葉もあります。
アヤメの花言葉:良い便り、メッセージ
ジャーマンアイリスの花言葉:使者、恋のメッセージ
花菖蒲(ハナショウブ)の花言葉:忍耐、熱心
ストックの花言葉
ストックの全般的な花言葉:愛情の絆、豊かな愛、永遠の美、求愛
白いストック:思いやり、ひそかな愛
黄色いストック:さびしい恋
紫のストック:おおらかな愛情
ピンクのストック:ふくよかな愛情
赤いストック:私を信じて
キンセンカの花言葉
キンセンカの全般的な花言葉:失望、別れの悲しみ、悲嘆、絶望
悲しい花言葉が多いのですが、キンセンカの鮮やかな黄色やオレンジの色は、風水的に見ると金運が良くなったり人間関係を円満にする意味もあるので、よく仏花に選ばれるようです。
桔梗(キキョウ)の花言葉
白の桔梗(キキョウ)の花言葉:清楚
紫の桔梗:永遠の愛、変わらぬ愛、気品、誠実
ピンクの桔梗:薄幸
トルコキキョウの花言葉
トルコキキョウの全般的な花言葉:優美、すがすがしい美しさ
白いトルコキキョウ:永遠の愛、思いやり
黄色いトルコキキョウ:毅然とした態度
紫のトルコキキョウ:希望
ピンクのトルコキキョウ:優美
ユリの花言葉
ユリの全般的な花言葉:純粋、無垢
白いユリ:純潔、威厳、高貴、壮大な美
黄色いユリ:陽気
ピンク・赤いユリ:虚栄心
リンドウの花言葉
リンドウの全般的な花言葉:悲しんでるあなたを愛する、あなたの悲しみに寄り添う、寂しい愛情、正義、勝利、正義感、誠実
白いリンドウ:貞操
紫のリンドウ:満ちた自信
ケイトウの花言葉
ケイトウの全般的な花言葉:おしゃれ、風変わり、気取り屋、個性、色あせぬ恋
グラジオラスの花言葉
白いグラジオラスの花言葉:密会
紫のグラジオラス:情熱的な恋
ピンクのグラジオラス:ひたむきな愛、満足、たゆまぬ努力
赤いグラジオラス:用心深い
千日紅の花言葉
千日紅(せんにちこう)は、色づいている部分は花びらではなく「苞(ほう)」ですが、花言葉をもちます。
千日紅の全般的な花言葉:色あせぬ愛、永遠の愛、不朽、不死、不滅
女郎花(おみなえし)の花言葉
黄色い女郎花(おみなえし)の花言葉:美人、はかない恋、親切
ほおずきの花言葉
お盆に仏壇周りに飾るほおずきも、花ではなく正確には実の皮です。
ほおずきの花言葉:心の平安、不思議、自然美
ミソハギの花言葉
ミソハギもお盆に仏壇やお墓によく供えられる仏花です。
ミソハギの花言葉:純愛、愛の悲しみ
カーネーションの花言葉
白いカーネーションの花言葉:純潔の愛、尊敬、あなたへの愛情は生きている
黄色いカーネーション:美、友情
紫のカーネーション:気品、誇り
ピンクのカーネーション:温かい心、感謝、気品、上品、美しい仕草
赤いカーネーション:母への愛、熱烈な愛、愛を信じる、無垢で深い愛、真実の愛、永遠の幸福、尊敬
なお、母の日にカーネーションを贈るようになったのは、白いカーネーションを亡き母に捧げたことに由来しているそうです。現在でも白いカーネーションは、母の日に亡き母に贈る仏花として仏壇やお墓に飾られます。
菊の花言葉
菊は最もポピュラーな仏花ですが、その理由は花言葉にもあるのかもしれません。
菊の全般的な花言葉:高貴、高尚、高潔
白い菊:真実、慕う、誠実な心、ご冥福をお祈りします
黄色い菊:敗れた恋
紫の菊:私を信頼してください、恋の勝利、夢が叶う
ピンクの菊:甘い夢
赤い菊:愛情、あなたを愛してます
菊にも種類別の花言葉があります。
春のピンポンマム(ポンポン菊):嬉しい夢
秋のスプレーマム(スプレー菊):気持ちの探り合い、逆境の中でもめげない、私はあなたを愛する
冬の寒菊:けなげな姿、真の強さ、忍ぶ恋、繊細
デルフィニウムの花言葉
デルフィニウムの全般的な花言葉:清明、高貴、傲慢、あなたは幸福をふりまく、誰もがあなたを慰める
白いデルフィニウム:誰もがあなたを褒める、可憐な瞳
紫のデルフィニウム:高貴、尊大
黄色のデルフィニウム:移り気
ピンクのデルフィニウム:慈悲、自由気まま、気まぐれ、心変わり
赤のデルフィニウム:無いものねだり
ここでは代表的な仏花の花言葉をご紹介しましたが、仏花に利用される花の種類は非常に豊富で、花言葉にも様々なものが存在します。興味のある方は色々調べてみてくださいね。
仏壇の造花は常花という枯れない『蓮の花』
仏壇にお供えする造花は常花(じょうか)という仏具で「蓮の花」の形をしています。
蓮の花は仏教のシンボルですが、生花はなかなか手に入りにくい花ですから、枯れない造花にして「常」に咲いている「花」として「常花」という名がつけられているのです。
常花は通常、アルミニウムや真鍮などで造られており、本数も最初から「奇数」の本数とされています。
また、金色の常花と彩色してある常花が一般的ですが、どちらを選んでも良いですし、組み合わせて飾る場合もあります。
仏壇に造花をお供えするメリットは多いと言われます。
そのメリットを見てゆきましょう。
仏壇の毎日のお手入れが造花なら簡単
生花では毎日お水をかえてあげて、葉や花びら、花粉が落ちたらお掃除も必要です。
花瓶も洗い掃除しなければならず、たまに茎をカットしたりその度にお花の組み換えもしなければなりません。
その点、仏壇に造花(常花)をお供えしている場合は、日々のお手入れは積もったホコリを拭く程度です。
生花の場合は日々のお手入れの他にも、仏花を買いに行く手間と、枯れてしまったら土に戻してあげるお手間もありますね。
また、お水を使う為、夏場は虫がわかないようにお手入れの頻度も上がります。
これを毎日行うのは大変ですから、造花を選ぶ方が増えているのもうなずけます。
関連記事:仏壇用の花瓶は通販よりも仏具店でセット購入するのが無難
仏壇の造花は経済的
生花を仏壇にお供えしている場合、10日程度で新しい仏花に取り替えないといけません。
仏花は左右にお供えするものですから、およそ1000円程度の費用が月に3回。3000円程度かかる計算になります。
仏壇に造花(常花)をお供えしている場合には、壊れてしまうまでは買い替えは必要ありません。
また、飾るものですからそうそう壊れたりはしませんので、大変経済的ですね。
生花に比べて大変魅力的なメリットの多い造花(常花)ですが、やはりデメリットもあります。
仏壇の造花の作り物ならではのデメリット
造花(常花)は造られたものですから、当然「香り」は有りません。
また、仏教的な意味での「諸行無常」には反するものでもあります。
ご供養という意味で、信仰心が深く、また故人の信仰心が厚かった場合には、故人が喜ばれないかもしれないという点は否めません。
また、仏教のシンボルで生花は手に入りにくい「蓮華」をモチーフにしておりますが、逆にそれ以外の常花はあまり種類をみかけません。
常花ではなく造花となれば、最近ではプリザーブドフラワーなどの種類もありますが、いぜんとしてお花の種類は圧倒的に生花の方が多く、季節性にも富んでいます。
もし、ご供養される方や故人がお花が好きな方だった場合や、特に好きな花があった場合には、生花の方が適しているかもしれません。
仏壇のお花は造花と生花の使い分けも考えましょう
ここまで、仏壇にお供えする花の生花と造花(常花)の違いやそれぞれの利点などをご説明してまいりました。
仏花は生活スタイルや健康状態によって適している物があっても、優劣を決めてどちらかを選ぶ必要はありません。双方を使い分けるという事が大切なのではないでしょうか?
普段は常花でのお供えをし、お盆やお彼岸、故人の誕生日やお正月など、年中行事や記念日などには生花をお供えする。
そういった使い分けが、無理のない毎日のご供養には必要です。
疲弊しない、そして日々のご供養の心も忘れない。
そういった両立は、生花に執着せずに造花を利用することで、簡単に実現出来るのです。
ご供養は形よりも行為の方が大事です。
行為にこそ故人への供養が含まれていますから、造花でのご供養でも全く問題は無いのです。
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花のお世話が負担になる高齢者の方にも
忙しい現代人に人気の造花(常花)ですが、毎日のお花の管理が大変という高齢者の方にも人気があります。
生花は毎日のお世話だけではなく、まず買ってくる所から始まりますし、やがて枯れた場合には処分するところまでお世話をする必要があります。
特に足腰が弱ってきたと感じている方へは、負担の無い造花(常花)をおすすめしたいと思います。
仏壇の生花や造花はどこで買う?常花は仏壇店で!
最近ではフラワー商品も通販ページで注文できるようになってきましたが、配送してもらう為、どうしても価格が高い傾向にあります。
仏花としては少し高すぎるので、四十九日など特別な法要の花束以外では、生花は近くの生花店でお買い求めいただくのが良いでしょう。
一方、造花や常花は重くは無いものの、本数が多い造花だとそれなりにかさばるものです。
仏具用品を扱っているネット通販ページを検索して、表示される情報をよくご覧になり送料無料で送ってくれるネット通販を探しましょう。
ですが、最も簡単なのはお近くの仏壇店で常花をお求めになることです。
かさばるものであれば自社の配送車で配送してくれる所も多いですから、まずは仏壇店に出向いて、配送はあるかどうか、常花の種類はどれくらいあるか等を仏事に詳しい店員さんに聞いてみましょう。
>まとめ
確かに、お花好きな方や故人が好きな花をお供えしてあげたいと思う方にとって、出来る限り生花をお供えしようとする行為は、とても大切なことだと思います。
ですが、仏壇にお供えする花は生花でないとご供養にならないという訳では有りません。
毎日続けるご供養があなたの大きな負担となってしまうようであれば、きっと故人も喜ばないのではないでしょうか?